[コメント] 嗤う伊右衛門(2003/日)
蜷川監督の俳優に関する審美眼はさすがである。唐沢も小雪も、外見、醸し出す雰囲気ともに空気を震わせるような美しさを持つ。官能美とプラトニック・ロマンを融合させた稀有なる空間を引き締めているのが、音楽を担当している宇崎竜童である。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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小雪のセリフにはやはり蜷川演出ゆえの新劇臭さが香るが、そこがまた良い。
やはりお岩を恐怖の対象でも、同情や憐れみの対象でもなく、誇り高く俗事を寄せ付けない孤高の存在としたことが、これほどまでに映画の中で成功していることに快哉を禁じ得ない。惜しむらくはお岩…小雪の出演時間が少ないのだが、前半は誇りに、後半は愛にその身を衒うことなく擲つお岩の存在を印象づけるにはそれで充分だったのだろう。
ただし、ラストの現代の東京全景、これはあまりに品がない。愛に殉じるふたりの、それを理解できない者への嘲笑に廃墟が包まれる、それだけにフィルムを絞って欲しかった。
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