[コメント] エレファント(2003/米)
若者たちの視点になり代わるのではなく、肩越し背後からのカメラ。好意的に解釈すれば、寄り添いつつも決してなり代われないことを知った上での視点のズラし、なのかもしれない。でも一方では、たとえ火の粉が降ろうがいつでも避難できる立ち位置、とも思えてしまう。そしてその立ち位置のせいか、場は見えてもその場にあるべき「空気」が伝わってこない。その世界の「内側」に足を踏み入れてないのだから、当然のことかもしれないが。そして、空気のないところでは、彼らの息遣いも体温も、痛みですら皮膚感覚では伝わってこない。
そして決して「俯瞰」の立ち位置でもない。ものごとをあるがままに見ているというには、いささか表層の「美」というものが強調され過ぎている気がする。一見冷徹なようでいて、その視線には真の「厳しさ」があまり含まれていない、と思う。さらに加えると「客観」でもないと思う。それはドキュメンタルな手法と客観性というものが、全く別モノであることと近いかもしれない。
ということをあれこれ考え、いろいろなモノを排除した上で残るものといえば、「美」。結局のところ、その「美」がいとも容易く壊れていく様を描いただけに終わってしまったのではないか、とさえ思う。しかし一方で、ある程度の完成度も備えているワケで。正直これをどのように評価すれば良いのか分からないが、少なくとも自分には無縁のものとしか思えなかった。
それにしても時折挿入される空のカット。無常観・・・なのだろうか。いや、巨視的なものが見下ろしているというよりは、むしろ見上げている印象。実際のトコロ遠い目で空を見上げて、ため息でも漏らしているのではないだろうか。
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