[コメント] アフガン零年(2003/アフガニスタン=日=アイルランド)
映画を見終った人むけのレビューです。
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観客の庇護欲を大いに誘う、マリナ・ゴルハバーリ なるあの、上戸彩似の美少女を発見した時点で映画の成功は半分以上保証されていたのではないか。しかし勿論、 演出面にも観るべき点は多い。
特に、子供達が「男だと云う事を証明しろ」と少女に群がるシーンには、宗教と云う権威を後ろ盾にした、無自覚ゆえに生々しいドス黒い劣情が渦巻いており、並みのホラー映画など裸足で逃げ出すほどの、凄まじい恐怖と狂気を感じた。
脚本・編集まで兼ねた監督以下撮影クルーの、虚構世界への介在の仕方も、なるほど唸るほど面白い。
まず最初に登場し、物語が進むにつれ何時の間にやら忽然と姿を消し、ラストで再び突然姿を現す「作り手」。消失の自然さとは、ドラマの求心力の賜物であり、再登場時の新鮮な驚きとは、現実世界の重みである。悪夢から醒めた目に映るものは、やはり悪夢以外の何者でもないという、その圧倒的な絶望感はまるでカフカである。
最後になるが、救いの無い結末は、即ち救いの絶対的必要性を説いているわけで、ここから目を背けるということは、何も観なかったことと殆ど同義なのではないだろうか?直截何かをしろと云うわけではないが、本作の悲劇性を正統に受け止め評価し、次作の完成を待ち望むだけでも、何も知らず無視しているよりはよっぽど意味があることだと思う。映画には戦争を止めることも、軍事政権を打倒することも出来ないが、しかし平和を長持ちさせることくらいは出来るはずだ。
(池袋新文芸座で本作と同日に見た『ラクダの涙』の拙コメントが、ゑぎさんの本作へのコメントと一部被ってしまいました。私はゑぎさんのコメントからは多大な影響を受けていますので、パクリだと云われれば否定は出来かねるのですが、一応この場で、弁明だけはさせて戴きます。)
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