[コメント] スクール・オブ・ロック(2003/米=独)
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ダイビングしてキャッチされず、次の日ダメダメモードでぐったり横になるデューイにまず大笑いしました。あのデューイ、メチャメチャ臭そう。これも一つのロックの臭いですよね。偽教師として出勤するところで、綺麗さっぱりになるのも、「準備早ー!」てな感じで、リズムを感じてよかった。ところが、全てがばれたところで、またまたぐったりダメダメモード。相変わらず臭そう(笑)
この冒頭とラスト前のデューイの寝姿は、ほぼ100%同じ日に(しかも連続して)撮影されたと思われますが、このだらしない寝姿で始まり、寝姿で終わる(終わってないけど)設定と、主人公がギタリストである設定、そしてアンコールの演奏でフィニッシュの設定は、名作『バック・トゥー・ザ・フューチャー』のマイケル・J・フォックスを彷彿とさせ、コメディタッチのロック映画の王道と言っても過言ではないでしょう。更に本作では、ライブでキャッチされずにうつ伏せの姿(上半身裸)のまま、(シーンを切り替え、)ベットで朝を迎えさせるところなど、うまい演出が見られる。
デューイに関して言うと、偽教師として生徒を騙した部分はあるものの、ロックを教えたことにさほどの下心があるようには見えなかった。何か教えてほしい!と頼んだのは生徒のほうだし、彼に教えることが出来るのはこれぐらいだったのだから。大会に出場することは、一石二鳥という程度の考えはあったかもしれないが、短期間で生徒に(そして自分に)目標を定めるのに恰好の大会だったんだと思う。
校長先生が見回りに来た際に、ギターが見つかったので、アドリブで音楽にあわせながら計算結果を生徒に答えさせるエピソードも笑った。デューイが計算間違いしたところなど、劇場で私が座っている席の回りの数人から「あってるじゃん」という(作者の思惑通りの)突っ込みを入れさせてしまうのもうまい演出だと思った。ちなみに、私がここで笑いが止まらなかったのは、黒板の左端にさり気なく書かれていた数式「?=!」なのでした。これをロックの公式と呼ばずしてなんと呼ぶ。
肝心のロック大会は大成功。そしてダイビングも(こんどは)大成功!ここは鳥肌立ちましたね。(おいおい、こんだけだらだら書いてロックのコメントはこれだけかよ!)
ちょっと物足りなさを感じたところは、生徒の役割分担にいたるところ。舞台に上がらないメンバーを縁の下の力持ちとして盛り立てているのはいいのだが、かなりのセンスを要する照明担当や衣装担当は、どこでその才能を見出したか皆目見当がつかない。デューイがランチしているところで、何かしら書類を見ながら考えるシーンがあったけど、それだけであの才能(特に照明担当)を見出したのであれば、デューイにこそマネージメントの才能があると言うべきだろう(映画的にそういう話ではないかもしれないが・・・)。
それからラストの課外授業はやりすぎだと思う。ある意味、これが本当の「スクール・オブ・ロック」なのかもしれないが、ルールに押し込められた子供が反体制とも言うべきロックに接し、爆発するのは、映画としてのワンタームだけで十分だろう。「スクール・オブ・ロック」の役割は一夜の革命であって、子供達と「ロック教室」を続けることではないのだから。ラストはこの経験で目覚めたデューイの自立で終わってほしいところ。
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