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[コメント] トロイ(2004/米)

名を残すために闘うというアキレスに魅力を感じない。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







歴史上の英雄で、名を残すために闘った人ってあんまりいないと思う。って、言うか、私には一人も思い浮かばない。名が残るのはあくまで後世評価の「結果」であって、「目的」ではないでしょう。命を懸けるには他に理由があるはずだ。本作のヘクトルはなかなか良かったが、アキレスには魅力を感じない。アキレスは闘いに理由を見出せないままのほうが良かったと思う。

歴史は後世が作るもので、有史以来の歴史家に万国共通の認定資格なんてないわけだから、嘘っぱちも含まれていると覚悟をしなくてはならない。幕末の坂本竜馬ですら、その偉業の信憑性は定かでなく、同時代の誰よりも有名な人物ではあるが、日本史上の偉大な人物としての明確な立場がないのは周知の通りである。 当然、何千年前のトロヤ滅亡の物語の中の真実はわずかだろう。 映画として肝心なのは、真実かどうかではなく、そこにロマンを感じるかどうか、だと思う。

従って、本作は完全なるフィクションでもいいと思っていた。原作を大胆に改変してもかまわなかった。しかし、登場人物からは、ロマンスばかりでロマンを感じることが出来なかった。

もう一つ。ロマンを語る上で最も重要な要素となる、滅亡の舞台だけは丁寧に描いてほしかった。私が言う舞台とは城郭そのもの。攻め滅ぼされたトロイの城郭の情景を堪能したかった。この描写さえしっかりしていれば、そこで闘った人物のドラマはおのずと感じられるはずである。更に言うと、本作にはトロヤ遺跡発掘をライフワークとしたシュリーマンの感覚の一部も感じたかった。しかし、城郭にも観るべきものはなかった。抜け道など不要だと思う。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)づん[*] けにろん[*] Myurakz[*]

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