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[コメント] 怒りの日(1943/デンマーク)

そのテーマといい技法といい、ドライヤー初体験の私としてはただもう驚嘆するしかないのだが、ひとつわかったことは、ヒロインの心の動きのなんと現代的であることか、愛や恋や若さ、自由や束縛といったものの考え方は溝口の田中絹代より、ひょっとしたら増村の若尾文子よりも、今の人々にアピールするのではないかと思う。
shiono

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







グレゴリオ聖歌「怒りの日」(Dies Irae)を引用しているクラシック音楽は多数存在するが、ベルリオーズの幻想交響曲第五楽章はこう解説されている。

悪魔の祝日の夜の夢−魔女のロンド

彼は自分の葬式に集まった、怪物や魔物たちとともに、身の毛もよだつおそろしい魔女の踊りに見いる。そこに恋人が現れるが、なんとすっかり気品を失って娼婦のようになり果てている。「怒りの日」が鳴りひびき、やがて魔女の踊りと「怒りの日」が並行してつづけられる。  (音楽の友社 名曲解説全集 交響曲)

この映画のエンディングシーンを彷彿とさせる描写だ。自分の葬式とあるから「彼」とは牧師アプサロンであり、怪物や魔物は参列者たる修道士たち、そして気品を失った恋人がヒロインである妻アンネ、すると本当の魔女とは...もはや明らかだろう。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ペペロンチーノ[*] ぽんしゅう[*] 動物園のクマ[*]

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