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[コメント] マルタイの女(1997/日)

明らかに詰め込め過ぎだし長過ぎるんだが、遺作なのだから仕方がない。ドラマもロマンス(←西村とのでは無い)もスリラーも、笑いも社会正義も、そして男と女の矜持さえあるのだから、多少チンケで冗長でも俺はこれを評価したい。渾身の遺作として敬意を払おう。
町田

「女優」を演じるに宮本信子では土台華が無さ過ぎたのだ。彼女が渾身の芝居を見せる「劇中劇」は退屈で退屈で仕方が無い。本家『ボディガード』からハゲ繋がりで起用?西村雅彦の生来のコミカルさで、映画が大分助けられていることは否めない。

しかし、終盤の津川雅彦のブチ切れシーンは最高にクールだった。津川の熟練の演技力はいわずもがな、伊丹監督の隠さざる本音が画面に台詞に横溢していたからだ。正に遺言であったと思う。そして、それを「夢」としてしか物語に配置できなかったことが、映画監督伊丹十三の限界だったのだろう。

偏執狂的完璧主義者として知られる監督だが、本当のところ彼は自分の為の映画を撮れていたのだろうか?妻のためではない、社会の為ではない、芸術家としての自分の為だけの映画を。

この映画には彼のその葛藤が刻み込まれている。一瞬でも本心がある。この作品を無碍に扱うことは、俺には到底出来ない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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