[コメント] アイガー・サンクション(1975/米)
脚本に欠点はあるが、それでも十分に魅力的なイーストウッド印の作品。リアルさにあふれた高さの感覚が堪らない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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多くからの指摘のとおり、この映画は1本の作品の中に独立した3つのストーリーを伴うような構成となっている。そしてその3つが綿密に繋がり1つの流れとなっていればよいのだが、残念ながらそういった繋がりは感じられない。それは確かに1本の映画の脚本としては致命的な欠点で、故にこの映画を傑作とは呼べないとする旨の批評も十分に理解できるところがある。
しかし、それでもこの映画が非常に魅力的なイーストウッド印の作品であるということも紛れもない事実である。映画を語るときにリアルなどという言葉を用いることがあまり適切でないのは十分承知しながらも、思わずそんな言葉を発してしまいたくなるようなリアルさにあふれた高さの感覚が堪らない。
冒頭のナイフによる殺人シーンのサスペンスフルな演出(足の動きだけで緊張感を盛り上げるその手腕)、有能な殺し屋でありながら女には不用心すぎるという主人公のギャップの楽しさ、ほとんどギャグとしか思えない脇役陣のキャラクター造型、彼の監督作としては異色とも言える女優陣の露出度、西部劇を彷彿させる砂漠のカーチェイス(あの見事な砂埃)、そしてノースタントで挑んだ登山シーンの迫力(最後ロープを切る直前のあの表情)と空撮の見事さ(これに至っては、いったいどのような指示のもとに撮り上げたのだろうかと感心するしかない)などの演出の的確さと力量、そしてその楽しさに感服。
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