[コメント] 紅の豚(1992/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
好きなのは戦友で袂を分かったフェラーリンと映画館で会話するシーン。豚の「罪名」を並べ立てるフェラーリンの横で豚が菓子をぼりぼり喰らいながらグフフと笑う。勿論映画のギャグシーンに笑っているのもそうだし、自分の存在そのものが「罪」(時代の恥)となっていることが面白くてたまらないのである。また、ファシストに尾行されていることに気づいたフィオと豚の会話で「何で?何も悪いことしてないのに」「・・・俺だって、そう思うぜ・・・っ!(この後暴走)」というものがあるが、豚は自分の存在そのものが「時代の恥」であり、「何もしないで遊んでいること」が思想犯であり、国民に「悪影響を与える」ことにきちんと気づいている。
ファシストとの対決シーンが薄いとの見方があるだろうが、豚としては彼らを「無視」することでその対決意思を示している。彼は逃げ続け、遊び続け、遊ぶことを誇示することで間違った時代をコケにするのである。それは真っ向から時代に楯突いて我が身を犠牲にすることとは違う勇気である。彼は終盤で「逃げること」をやめようと考えたのかもしれない。それでも彼が彼であるためには時代と人の命を賭けて戦争し、犬死にすることを避けなければならない。エンドロールで語られるのは暗い時代の到来と道化=豚達の思い出である。時代が間違うことをやめたとき、彼は人に戻るだろう。
ジブリの最近の映画のキャッチコピーは基本的に間違いだらけだと思うが、「カッコいいことはこういうことさ」というコピーはあながち間違いではないと思うのだが・・・違いますかね?
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