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[コメント] 華氏911(2004/米)

見終わって、真っ先に思い浮かべたのは、『トゥルーマン・ショー』だった。(レビューには、『トゥルーマン・ショー』のネタバレがあります)
シーチキン

☆☆☆☆『トゥルーマン・ショー』のネタバレ(ラストに言及)があります☆☆☆☆

ジム・キャリー主演の『トゥルーマン・ショー』である。あのすべてが人工的に管理されたドームの中の世界がアメリカであるならば、日本の我々はさしずめ、そのTV番組を見ているただの視聴者であろう。

そして番組が終われば、あるいは興味がなくなれば、さっさと次のチャンネルに変えるだけである。それに、もともとよその国の大統領を誰にするかという話なのだから、その国の人が決めるのが筋でもある。だから、日本ではこの映画は、一娯楽映画として見るべきものなのだろう。(丁度、TVのワイドショーみたいなつくりになっているし)

実際、レイトショーで見たのだが、私の隣に座っていたカップルの女性の方は途中から居眠りをしていたし、他にも眠っていそうな人がいたような。まあ、日本の我々から見れば、いくら、いろいろ関係が深い所があるとはいえ、よその国の話かなあというのはいなめない。

聞いた所ではムーア監督は、かなりはっきりとブッシュを再選すべきでないと訴え、この映画でも大胆にブッシュを追及している。アメリカという一国の大統領なのだから、その発言や言動が批判の対象になるのは当たり前だし、「愛」や「正義」、「信頼」、「成功」等などをテーマに、あるいは訴える映画があるように、「ブッシュを通すな」をテーマにした映画があってもおかしくない。

問題は、それがどれだけ多くの人に伝わるかだが、この映画に限っていえば、ムーア監督の眼中にあるのはアメリカ国民だけだし、その結果は、大統領選挙結果という形でムーア監督の前に示されるだろう。それをどう受け止めるかは、彼次第である。

ところでこの映画には、もう一つの見方もある。それは個々に描かれていることは、本当のことなのか、そういう疑問を触発されながら見ることである。

そしてこの見方は、映画の上映時間が終わっても、しばらくは考えさせる。場合によっては、自ら納得のいくまで調べてみるのもいいだろう。(時間は膨大にかかるだろうが)それに、映画を見てそういう刺激を受けることは悪いことではないし、よくあることでもある。だからこれはやはり、ただの映画、ということでいいのだろう。

そういうことをいろいろ考えさせられ、またなかなかに興味深い一本で、見てよかったと言える映画だった。

(評価:★3)

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