問題はキャラなんだろうな、親子三人の。とくに祖父と父の「科学問答」にうんざり。「平和」をとなえる祖父。「進歩」をめざす父。でも二人とも「もっと圧力を上げろ！」とかいって、現場の人間の命の危険を顧みない。市井の人々の生死も気にしてない。まるで自分を省みないこの二人を見ていると、たとえ技術が進歩するような大発明を完成させても、未来を任せるわけには行かない「独善バカ」にしか映らない。

本来ならここに「オハラ財閥のボス」が登場してこそ、二人のマッド・サイエンティストが活きてくるのだが、変に中途半端な「悪役」になっているから、とても気持ちが悪い。ちなみにこの父を見てると、「未来少年コナン」の「ラナの父」を思い出す。

そこで主人公レイが大切になってくるんだけど、いったいこの少年に何をさせたかったんだろう。この映画の中で、レイは父と祖父の二人の肉親の間で、フラフラして、どっちつかずに見える。なにかこう一人で流れを変えるような、めざましい活躍の場がない。最後まで「二人とも肉親」という呪縛に縛られている感じがした。「立ち向かう相手」を間違えた。どうしてもレイを活かしたいなら･･･、祖父と父をだまして開発させた「スチーム城」を悪用し、軍事目的に使用し、ロンドンに攻め入った「オハラ財団」に立ち向かう！、じゃなきゃダメでしょ。

ある意味、「未来少年コナン」の対極。「超野生児」と「科学少年」。「野生児コナン」は、圧倒的な科学の力にカラダ一つで立ち向かう。槍一本あれば千人力。あれこれ考えず、自分の決めたことを貫き通す。この「主人公の力」の魅力の違いは計り知れない。

キャラ的に好きだったのはスカーレット。小西真奈美ちゃん、がんばってました。もっと「性悪度」を上げて欲しいけど、ほかにヒロインいないから、これで妥当か。

もう一人、イギリスのメガネのエンジニア。実際に彼が一番人間味があるとおもう。

なんか、不満ばっかり書きつらねたけど、「祖父と父」以外のところは、わりと楽しめた。「映像」だけとったら満点近い。