[コメント] スウィングガールズ(2004/日)
二匹目のドジョウではなく豊かな成熟がある。もちろん『ウォーターボーイズ』と比較しての話。新規性ばかり追う痩せたニーズから抜け出し、作り手の熟成を待ってもう一度同じ路線を楽しむ享受者側の成長がなければ、この企画は成り立たなかっただろう。
音楽の起承転結同様、エモーションの上昇と下降を繰り返してエクスタシーに至るプロセスを常套手段と呼ぶか、根源的と呼ぶかは、結局のところ、総合的なつくりのうまさで判断するしかない。
けだるい夏の補講シーンからスタートし、ぴりぴりと引き締まった冬の演奏会場でコーダを迎える緊張感のクレッシェンドや、重箱の隅へのこだわりを潔く捨て去ってプロットのつながりの太さを強烈に意識した既存形式への全幅の確信や、いのししのシーンに見られるような、映像その部分だけ切り取っても十分エンターテインメント足りうる絵作りのアクセント。凡人である登場人物が凡人である観客へ届けるメッセージは通俗的かもしれないが豊穣だ。見る者との演じる物との一体感を作り出しす知り尽くした演出力はなまなかのものではない。
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