[コメント] スウィングガールズ(2004/日)
A.バンドの練習は決して楽しいものではなく上手くなっていけばいくほど飽きてくる。カラオケが楽しいのは違う曲をどんどんとっかえひっかえ出来るからだ。3時間同じ曲を繰り返し歌ったら嫌になるでしょ?バンドの練習も同じで同じ曲を数百回繰り返したりする。もう飽き飽きですよ。
B.音楽とは人から人へリズムと調を伝える一種の伝達方法(イルカのクルクルと同じ)なわけだがもっとも大事なのは感情を伝える事にあるように思う。演奏者の感情が良い方向に向いている音楽はどのジャンルであれ確実に伝わる。
このAとBの内容は演奏者にとっては厳しいものだ。演奏が上手くなると言う事は既に飽き飽きしている、とも言えるのだ。そうなるとBで言った視聴者に飽き飽きしている感情が伝播する事になる。営業スマイルなぞ通用しない業界だし。
この悪夢の法則から逃れられるのは2パターン。
1.飽きる前に短時間で上手くなる。これは安易な方法だが演奏者がやってて楽しんでるのでそれがダイレクトに視聴者に伝わってくる。この映画はそういったピンポイントの時期を上手く利用したのだ。だから演奏技術云々以前に感動するのは至極当然だと思う。
2.徹底的に極める。人間極めれば自分の思考能力以上のものが出来たりする。想像以上のものが出来ればそれは演奏者の感動に繋がり受け手にもそれが伝わる。ただしこんな人めったに現れない。天才の基準はこれだ。
さて、監督はフィルム回してりゃ感動する年頃はとうに過ぎただろうから2.の道を行くしかない。彼は自分の想像以上のものを作るには女子高生の彼女達の感動を視聴者に伝達した方が良いものが出来ることを知っている。これは前作でも言えた事だし。
いずれにせよ監督が考えに考えただろう脚本と笑いのネタ&最後の演奏の一体感。結局どちらを評価するのか、この一点でひどく悩む。ただ今回この評価を大きく左右することになったのは廃棄処理業兄弟のネタだ(公明がキーを握っているのに似てるな(笑))。一体どこからこういうネタを思いつくのか?すばらしい。一瞬だけ矢口史靖が女子高生の演奏(の感動)に並んだ瞬間である。
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