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[コメント] 世界でいちばん不運で幸せな私(2003/仏=ベルギー)

恋愛映画としてより、ブラック・コメディとして観たほうが楽しめるように思える。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







幼なじみの男女が何度もすれ違いながらも結ばれるまでを描いた恋愛映画。

主人公2人の過激でブラックな行動で笑いをとろうしている点では『ベリー・バッド・ウェディング』の雰囲気に近い。

主人公のジュリアンとソフィーの子供時代の世界観は一見『アメリ』のようなメルヘン・チックな世界観ながら2人がゲームと称しては繰り広げる駆け引きはかなり過激でジュリアンもソフィーのキャラも子供ならでは無邪気な心からだと割り切っても観ててちょっと引いてしまう。

興味深いのは、この2人のゲームがジュリアンは進学のために勉強に励むソフィーをゲームを理由して邪魔したり、ソフィーはジュリアンの結婚式で土壇場になって異議を唱え、ジュリアンの前で電車に引かれそうになる寸前までゲームの賭けをするなど、話が進展するごとにどんどんエスカレートしてゆき、観てる側としては、2人のゲームの駆け引きというよりも2人の命を賭けた意地の張り合いのように思えてくる。ソフィーが後半、ジュリアンに容赦なく無理難題な提案をしてジュリアンを翻弄するところはとてもそれまでのキャラ同じ人物とは思えなかった。(しかもジュリアンが結婚してからは用意周到に計画をたてているし)

恋愛映画の観点で見ると、主人公の2人のキャラ設定からして正直、異常すぎて、この2人が結ばれるまでの展開に観客を期待させるだけの魅力が感じられない。しかし、この2人のゲームに囚われ、互いに意地を張り合って、過激な提案をこなす姿は、最初は違和感のあったキャラ設定も含め、慣れてくると個性が感じられなかなかおかしい。さしずめ負けを認めたくないから無理矢理別の条件を出して勝負を正当化しようとする子供の喧嘩を観ているようで子供ならありがちな光景を大人になってもやっているところに驚きである。

キャラとしてもジュリアンが自分の婚約をソフィーに告げるシーンでは、ジュリアンは本来なら悪気があって婚約者を遠くに置く方法をとったわけではないのだろうが、それまでのジュリアンの性格を考えるとどう見てもソフィーをゲームに引っ掛けるために確信的にやっているように見えてしまう。

総評としてはゲームに囚われひたすら暴走する2人の姿を素直に受け入れられるかどうかで評価が分かれる作品という感じ。

役者としてはジュリアン役のギョーム・カネのやけににやついた悪がしそうな表情はなかなかはまっていて、ソフィーに対する悪人ぶりはなかなか面白かった。ソフィー役マリオン・コティヤールも笑顔はとてもかわいらしいのに、後半は平然と笑顔でジュリアンに対して容赦なく過激なゲームを持ちかけてくるところはなかなか怖い。

(評価:★3)

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