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[コメント] ドラゴン怒りの鉄拳(1972/香港)

プログラム・ピクチャーの枠を完全に踏み破った、凶暴さと繊細さのブルース・リー。歪んだ珍妙な日本人が全篇登場し続ける作りに萎える以上に、ガチの演技で挑んだリーの敵として余りに戯画的である事が納得し難い。
煽尼采

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







熱く沸点に達した怒りと、埋めようのない絶対的な哀しみ。景気のいい打撃音が炸裂するアクションは、軽快さよりもむしろ、相手を倒してなお抑え難い感情に耐えるリーの、張り詰めた肉体の震えに、こちらの心臓もまた震える。

ラストでの、自首したリーが真正面から彼を狙う無数の銃を目の当たりにした時のクローズアップは、その表情がゼロからマックスへ上昇していく沸騰の様が戦慄的。肉弾戦では無敵なリーが、遠くから銃で狙われるという絶望。その、越えようのない絶望的な距離へ向かって、力の限り跳躍するリー。この最後の姿は、遂に物語の稚拙な作りすら蹴破っている。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)太陽と戦慄 けにろん[*]

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