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[コメント] エターナル・サンシャイン(2004/米)

まぁ、なんとなく面白いが、突き抜ける何かが足りない!
dappene

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







カウフマンはマルコビッチの穴の鮮烈デビュー以来、大好きな作家のひとりで、当然ながら個人的に注目してきた人でもある。今回、たくさんの賞に輝いた本作に「遂にキタか!?」的な期待をしていたが、やっぱりダメだった。

カウフマンは「オリジナリティ溢れるアイデアに満ちた類まれな才能の持ち主」というレッテルに束縛されているのではないだろうか?(シャマランも同じ境遇?)

確かにアイデアに満ちた作品を創り出す。しかし、そのアイデアの奇抜さゆえ、ギミックにこだわりすぎる為なのか、どうしても基本的な作劇に物足りなさを感じるのだ。これまでの一連の作品群で「面白い!」ものはあったが、深く感情移入したり、感動したりといった心を揺さぶるものがなく、故に何度も鑑賞することなく、「反芻系」でなく「一発系」の映画の印象が強かった。

そんな中、本作の前評判から、遂に本物の高みまで上り詰めたか!?と期待していたのだ。

残念ながらこれまでと代わり映えしなかった。ギミックを抑えた分だけ、面白さも半減していた。オープニングでエンディングが読めるし、あまり共感できない主役達にもガックリ(キャスティングミスかもしれん)。最後に主役二人にネタばれする為の小道具として(その割りに出番が多い)出演するメアリー(キルスティン・ダンスト)にも、その描き方においてあまりにも小道具感が強く、いい加減でうんざり。まぁ、これはカウフマンというより、演出の問題だな。

何よりもがっかりするのは、クレメンタインの髪の色が緑⇒赤⇒橙⇒青に変わっていく点だ。これは時間軸を逆に遡って行く際の拠り所になるという点において、観客に理解しやすいよう無理やり付け足した設定だろう。なるほど、色を見ればいつのクレメンタインなのかそれなりに分かる。しかし、これはアイデアというよりただの安直でしょう。もっと考えて、さりげなく説明すべきだろう。(大体、そんなに説明が大変なんだったら、子供の頃の記憶領域を彷徨う必要あるの?あっちの方が観客の頭を混乱させるだろうから、バッサリ切って、二人の「大事な思い出」を膨らませた方がいいと思う)

ラストも特にどんでん返しも感動もなく何となくなエンディング(互いにけなしあいながら愛を確認するという発想は独創的だが、だからといって感動するわけではないし)。

うーん。やっぱり監督の責任かなぁ。カウフマンの細部の暴走を止め、ある意味ベタな作劇をさりげなく盛り込み「王道の映画」に仕立て上げると本当にいい映画になるのかも・・・そういう気もしてきた。

梶原一騎+ちばてつや=あしたのジョー

このカップリングと同じ構図を期待したい。

となると監督はバズ・ラーマン、キャメロン・クロウあたりに一票入れたい!

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)ガンジー Lostie きわ[*] ボイス母[*] 甘崎庵[*] 狸の尻尾[*]

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