[コメント] 2046(2004/中国=仏=独=香港)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
残ったものはトニー・レオンのかっこよさだろうか? 木村拓哉の下手な演技だろうか? 音楽の見事な出来栄えか? クリストファー・ドイルのカメラワークか? それとも見事に映像にマッチした煙草だろうか?
ストーリー自体は極めて単純である。 失恋した男が過去(失恋したという過去)から逃れようとする。 男は皆とは違い、自分だけは失恋から立ち直ったものと思い込んでいた。 しかし誰も過去から逃れられない(2046からは脱出できない、帰ってきたものはいない)と悟るまでの物語である。
このありきたりでシンプルなテーマに、なぜ自分は感動してしまったのか。 2046で初めてウォン・カーウァイ作品に触れた私にとって、これは衝撃だった。
何も変わらない場所2046。あえて香港返還の問題をおいといて、これを記憶と解釈する。 人は記憶からは逃げられない。記憶は「都合の良いように変わる」からだ。人は思い出を美化する。 変わらないのではなくて、変えたくないのだ。それでも記憶は無意識のうちに変化する。 冒頭で木村拓哉が語っていた「2046に行っても彼女はいなかった」というのは、そういうことではないだろうか? 既に彼の心の中には「美化された彼女」しか存在していなかったというわけだ。
二回目を見た後も、どこがどうよかったと具体的に説明できない。何かが残ったとしか表現できない。 それでも私はDVDを買い、また鑑賞するだろう。
2046を鑑賞した後、ウォン・カーウァイ作品を借りて見てみた。 そこでも実に効果的に煙草を使っている。
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