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[コメント] ベルヴィル・ランデブー(2002/仏=ベルギー=カナダ=英)

イリュージョニスト』からの逆走で観賞。完全にノックアウトされた。シルヴァン・ショメはいまやマイ・フェイバリット・アニメーターだ。
田邉 晴彦

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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次回作は実写になる予定とのことだが、極端なデフォルメを駆使したキャラクタリゼーションと奇天烈なアクションはアニメーションならではの魅力。ユーモアに次ぐユーモア、のち少し寂寥としたラストは、実写映画でも十分に発揮されるものとは思うが。『イリュージョニスト』もこの『ベルヴィル・ランデブー』も、観賞中1分たりとも退屈することはなく、終わった瞬間から、またあの世界観に浸りたい!と思わせる激烈な中毒性に満ち満ちている。ああ、年に1回は観たいぞ。それこそ金曜ロードショーのたびに観てしまうジブリ映画に似たやみつき感だ。傑作!

特に素晴らしいのは、一貫したテーマに裏打ちされた巧妙な伏線とそのチャーミングな回収方法。家財をマッサージ用具に、家電と新聞を楽器に、そして、手榴弾を釣り具に。本来の用途とは違った使用方法で当初登場するモノ、その時点ではケラケラ笑えるユーモラスなシーンに過ぎないが、最終的には事件を解決に導くための決定的なツールとして再登場する展開=伏線からの回収方法は鮮やか。お見事!

また、最初一見主人公かと思われた男が徐々にその存在感を後退させていく様といい、凶悪になりきらないヒールたちのボンクラぶりといい、作品全体をオフビートな倦怠感が覆っているのはフランスのお国柄か?DVDにはシルヴァン・ショメ監督と高畑勲監督の対談が収録されており、そちらも興味深いのだが、ショメ監督が「フランス人には敗者を愛する気質がある」といった趣旨の発言をしていたのが印象的。本作も、社会的弱者、過ぎ去ったものたちへの愛に満ちている。活躍するのは息子夫婦を失ったばあちゃん、かつてはスーパースターでいまや場末のショーガールの三姉妹である。「予想通りにことがすすむありきたりな作品にはしたくなかった」と監督談にあるが、アンチハリウッドの姿勢は、作品中で描かれるベルヴィルの街風景を観ても明らか。デブが闊歩する摩天楼に太った自由の女神像。ひどいね、むき出しの嫌悪感。一言で説明しづらいストーリーはここからきている模様。

他にも、貞子化するカエル(その後列車に踏みつぶされるときの音)とか、しゃなりしゃなり気取った(割に滑稽な)レストランの男など、とにかく全編に真っ黒なユーモアが漂っていて、腹を抱えて笑った。もうね、最高ですよ!

ああ、いい“映画”をみたなぁ。

(評価:★5)

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