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[コメント] イズ・エー [is A.](2004/日)

「少年犯罪」というそう簡単には扱えないテーマを掲げ、それは充分に活かされていたと思います。とにかく重い。キャスティングも主張が激しくなく、物静かでとてもよかった。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ラストは私的には安易なように感じたんですけれども、ちょうど舞台挨拶で藤原健一監督と津田寛治さんが来館されていて、ラストについての質疑応答がありました。監督の藤原健一さんはラストについて、製作者、キャスト陣、それこそ映画に携わったたくさんの人たちと何度も話し合い、その結果、こういうラストにしたのだと仰っていました。そして「みなさんでラストについて考えて下さい」というメッセージも頂きました。

私は「死」というものは「無」であり、そこには何も発生せず、だからこそ恐ろしくもあると思っているのですが、「無」になるという事は恐怖心と同時に、苦しみからすらも逃れられるとても安易な道でもあると思うのです。だからこそ少年は生きなければならなかったし、生きる事の重みを背負わなければならなかったと思います。命を張って「生きること」を教えた父親の事を考えるとなお更少年には生きてほしかった。

私は日本の俳優では津田寛治さんが一番好きなんですけれども、この映画に関しては内藤剛志さんに持ってかれた感が否めません。内藤さんの迫真の演技には非常に心を打たれました。子を思う親の気持ち、私はまだ親という立場ではないので推測するしか術はないのですが、内藤さん演じる父親の姿に、子を想うその深い愛情が伝わってきました。もちろん、津田さんも苦悩が伝わってくる良い演技だったと思います。小栗旬くんは普段のまんまって感じで、それが逆に良かったと思います。力んで下手な小細工をしなかったのが良かったんだと思います。

津田さんが舞台挨拶の時に少し触れていましたが、子がおかしくなるのはやはり親の責任ではないかと思うと仰っていました。考えは人それぞれだし、私も津田さんと同じ意見ではありますが、この映画を見ているとその考えが本当に正しいのかふと考え込んでしまいます。

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05.11.07 記

(評価:★4)

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