[コメント] オーシャンズ12(2004/米=豪)
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前作『オーシャンズ11』はソダーバーグが映像へのこだわりを見せ、粋なテイストでクールな印象を醸し出した一方、『オーシャンと11人の仲間』の内輪で楽しむ雰囲気も継承していた。この続編『オーシャンズ12』では、より内輪で楽しむ雰囲気を追求している。キャストが楽しんでいるのが伝わるので、観ているこちら側も、そのテンションと空気、前作同様デビッド・ホルムズの音楽にも引き込まれて、素直にポップコーンを食べながら楽しめてしまう。
アンディ・ガルシアが「俺の金、返せよ」と11人それぞれを追い回す冒頭。その設定からすでに真面目な犯罪映画であることを放棄しているように思える。以後、オトボケぶりを連発して楽しませる。中心的な役割をやりたいマット・デイモンが全く機能しない様が、彼にはピッタリだ。前作に引き続きジャンクフードを食べているブラッド・ピットも、昔の恋人であり刑事の新役キャサリン・ゼタ・ジョーンズの登場により、振り回されているのが面白い。リーダーのジョージ・クルーニーは自分が50歳に見えるかを気にしている姿がかわいらしい。そんなオトボケぶりを続けた結果、11人全員が逮捕されてしまう顛末もおかしい。
ジュリア・ロバーツの一連のエピソードは禁じ手のようにも思われるが、仲間うちで楽しく遊んでいる雰囲気が、そこからよく見えてきた。ブルース・ウィリスまで特別出演し、とんでもない大ホラで盗みを実行する様子を眺めていると、カメラの外のスタッフは大爆笑していたと予想できる。この超お遊びも、マット・デイモンの台詞によって実は伏線が張られていたことは、細かいが良く練られている。ヴァンサン・カッセルの泥棒ダンサーにも、そのあり得なさがおかしいが、何気なくダンス練習していたという伏線がここにもあるのが偉いところだ。
前作に比べてコンパクトにまとまっているわけではないが、それでもプロットは崩壊せずに、ピット&キャサリン、クルーニー&ジュリアの2つの恋愛ストーリーとして、しっかりと最後まで進むのは、遊んでいるような雰囲気の中でも、きちんとソダーバーグが映画をつくりあげているから。ラストシーンでみんなで集まって笑っているところへたどり着き、楽しい気持ちのまま映画を締めくくれるように出来上がっている。キャサリンを加えて13人で談笑しているのを見ると、このテイストでもう1本、『オーシャンズ13』まではありかな、と思えてくる。
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