[コメント] パッチギ!(2004/日)
井筒和幸という人は、その言動から「お前の映画だって、なんてことないじゃんかよっ!」と思われがちだったりするのだが、この映画に限っては素直に認めてあげてもいいんじゃないかと思う。ていうか、認めてあげてください。
切り口が単純な分、映像(画作り)、役者の演技(関西弁)、音楽といった「井筒和幸の映画」としての細部へのこだわりぶりが、まさに集大成的にすごいのだが、他の作品に見られるような行き過ぎがここでは見られず、平たく言うと丁度良い具合に仕上がっていて、とにかく気持ちいい2時間を過ごすことができた。
役者は塩谷瞬、高岡蒼佑、沢尻エリカといった主役級から一見何の関係もないようでいて実は重要な役であるオダギリジョー(好演! ビックリした)に至るまで、皆がとても味わい深い演技を見せる。青春ものだけに、基本的には若い人のパワーがすごいのだが、光石研の先生など、要所で出てくる大人の扱いがものすごくいいと思った。この絶妙のバランス感覚がこの映画の成功の要因でもあるのだろう。
が、何と言ってもこの映画の肝は、素晴らしい音楽(と、それらを使ったシーン)だ。正直塩谷瞬の歌は上手くない。けれど、彼が歌うシーンは全てがよい。そう、歌は心なんだという原点に立ち返れる喜びをこの映画は与えてくれる。正直、泣けてきた。
というわけで、この映画に限っては井筒和幸という人を素直に認めてあげてもいいんじゃないかと思う。ていうか、認めてあげてください。
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