[コメント] 火火〈ひび〉(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
清子が賢一に「お前の壺だよ」と言って渡すシーンに少し涙が溢れたが、実際の神山清子さんがどんな思いで作ったのだろうかと想像した部分が大きく、実話を下敷きにした映画の強みだろう。死と対峙した者のその後の行動がこの映画の要であると思うので、やや淡白な演出に少し不満もある。セカチューみたく大袈裟にできないのが実話ものの弱みか。
ヒロイン的存在だと思っていた池脇千鶴が途中からいなくなってしまうのが意外でもあり現実的。(これもある意味実話?ならでは。たいていのフィクション映画では最期まで看取る)病室で賢一が牛尼瑞香さんを「瑞香」と呼び捨てにしていたが、賢一と瑞香がどんな関係だったのか少し気になる。あと清子の師匠(岸部一徳))が清子をどう思っていたのかも。
元になった本「母さん、子守歌うたって」を読んで知ったことだが、 賢一が「僕は母ちゃんと姉ちゃんとでがんばる。学校に行けなかったらアルバイトもするから。父さんいなくてもいい」と父親に向かって言ったことが当時、離婚について悩んでいた清子を立ち直らせたそうだ。そこは賢一がいかに母想いだったかを物語るエピソードだと思うので映画にも入れて欲しかった。
あと、瑞香が頭を剃ったのは、賢一と同じ髪型にして共に闘病しているのだという一体感を感じたくてしたのだと解釈していたが、本には衛生上の都合のためと書いてある。
骨髄バンク運動が押し付けがましく映らない理由は、きちんと骨髄移植の手術まで見せたことであろう。自分はわりと映像メディアや書物から影響を受けやすいタチで、こういう話を見たり聞いたりすると「骨髄バンクに入らなきゃ!」と思ってしまうのだが、あのむちゃくちゃ痛そうな手術を見てしまうとそんな気が萎えてしまう。登録したはいいものの、いつ手術の通知が来るのだろうかという恐怖に怯える日々が始まるのではないかと思ってしまうのだ。でもこれを機会に骨髄移植について調べてみて自分にもできそうだったら登録してみようかな・・・
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。