[コメント] ザ・インタープリター(2005/米)
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サスペンスとしての展開に矛盾点は多いが、昔ヒッチコックが撮っていたこの手のサスペンスにもそれは言えた。なぜかというと、話の軸が実はサスペンスではないからだ。この映画も軸はニコール・キッドマンとショーン・ペンがそれぞれの過去の傷から立ち直ることで心を開いていくドラマなのだ。それを前提に考えると、主演ふたりは当たり前のように好演を見せ、適度なサスペンスが加わり、硬派で楽しめる良質の大人向け娯楽映画に仕上がっていると言える。最近のハリウッド映画、特にこのジャンルとしては久々に見応えある映画だった。
サスペンスとして決して脚本のレベルは高くないが、一応ショーン・ペンが選んで出演しただけにひとつの筋は通っている。“世界平和のために必要なのは銃ではない”ということ主題がクライマックスで浮き出ている。バス爆破テロにしても、舞台がニューヨークということもあり、あの大惨事を思い起こしもする。娯楽映画とはいえ政治的な題材を絡めた作品、ショーン・ペンが選びそうな映画である。
また、ところどころヒッチコックへ目配せをしているのも面白かった。国連が舞台=『北北西に進路を取れ』、向かいの窓からの監視=『裏窓』、シャワーでの殺人(未遂だったが)=『サイコ』と、ヒッチコック映画を連想させるシーンがあった。ヒッチコックは公の場所を好んで選び緊迫したシーンを作っていたことも、この映画だとバスの中での会話や国連議会でのクライマックスなどに当てはまると思う。
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