[コメント] マラソン(2005/韓国)
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ストレートな韓国映画の性質が主題と見事に合っていた成功作なのだと思うが、韓国映画に見られる「甘さ」は、やはりこの作品にもあるのだと思った。
母親の直情的な愛はコーチによってその自己本位を指摘され、最初はそれに反発してしまった母も、息子の純粋な姿に反省し、自らを改めるようになる。… なるのかも知れないけれど、そのありようは畢竟いつまでもストレートで直情的な儘だ。
ひょっとしたら限りなくベタな韓国ドラマが日本人に広く受け入れられたのは、日本人がもう自分の口からはストレートな台詞を吐けないくらい腐ってしまっているからかも知れないが、しかし私はこの映画の外にある現実も気になってしまう。
息子がもし何時迄も母親の気持ちを理解出来ない子だったらどうなってしまうのだろう?と思ってしまう。
もう一つ気になるのは、母親が障碍を持つ子の事ばかりに掛かり切りになり、もう一人の息子や父親が疎外されてしまう、という描写。もう一人の息子と父親はそれによって画面の外へ押し出され、その分母親と主人公の関係が濃密に描かれるのだが、私が気になるのは「母親に疎外された」二人の事ではなく、何故この二人は母親と一緒になって障碍を持つ家族に関わらないのか、という事だ。弟は「母さんは兄さんばかり見ている」というのでなく、どうして母親と一緒に兄に関わろうとしないのか。そういうならお前が兄を見ろよ。それでは母親の負担が増えるに決まっておろうが。だから最後の和解も、母親の変化より二人はもっと変わらなくていいのかよ、と思ってしまった。
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