[コメント] リンダ リンダ リンダ(2005/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
本人自身が「駄目人間」を公言し、「駄目人間を描かせたら、日本一」とまで言われている山下監督。デビュー作こそ未だ観ていないが、私も『リアリズムの宿』(2003)以降は順調に観続けている。さほど評価は高くないものの、妙に監督の作る作品の雰囲気のかったるさが好き。表現力はあるのだが、なんか80年代前半の新人監督っぽさをいつまでも残している感じ。
本作は監督が初挑戦した女子高校生の物語だが、やはり山下監督らしく、単純なさわやかなストーリーには敢えてしていないのが特徴か。
こういうバンドの作品の場合、ゆっくり時間を取って徐々に友情を醸成していくと言う感じで作られるのがパターンだと思うのだが(そのパターンの良作として、前年に公開された『スウィングガールズ』(2004)が挙げられるだろう)、むしろ本作は切羽詰まったぎりぎりの物語として描いてしまっている。それが画面に妙な慌ただしさを出しているのと同時に、切羽詰まっているからこそ無理しても仲良くなっていかねばならない。と言う焦燥感が上手く働いている。妙に乾いたようでいて湿ったような友情物語の構成が、これが夢物語ではなく、現代的な友情物語であることを思わせてくれた。
それにしても曲の選定が振るってるよな。何でこの時代に、しかも女子高生がブルーハーツなの?ターゲットを監督の同年代の、しかも男に絞ってることがモロ分かり。90年代に青春を送った人だったら、この設定は直撃だったんじゃ無かろうか?
残念ながら私は一世代上になるので、そこまではまることは無いけど、やっぱりブルーハーツは良い。改めてそれを感じさせてくれただけでも充分かな?
ただ、本作の音楽演出についてはかなり優れてる。ブルーハーツはアップテンポ曲なので、前半の緩い雰囲気に合わないため、ほとんど出さず、後半になってばたばたと忙しくなって来るに連れてどんどんはまっていく。だから後半にほとんど音楽を持っていくという構造。雰囲気の持って行き方がとても上手い。
ただ、自分自身の好みか?と訊ねられると、ちょっと否定的なので、点数は抑え気味。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (3 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。