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[コメント] 処刑の丘(1976/露)

タイトルバックの交戦シーンから厳しい画が続く。雪を踏む靴音。乾いた銃声。そんな冷徹な環境音のなか動揺し続ける手持ちカメラが「顔」に迫り、雪原の凍てつきと敵への恐怖に固まった疲労顔から、捕虜としての矜持、動揺、駆け引き、諦観を無遠慮に捉え続ける。
ぽんしゅう

ラリーサ・シェピチコ監督の視線は「裏切り者を断罪しパルチザンを称える」というソ連邦プロパガンダの域を突き抜けて人間の本質としての「弱さ」を射抜いてしまう。誇りや主義を貫き志を通すことも、仲間や統制を裏切り命乞いすることも“何かにすがる”という点で表裏の関係であり、どちらも「弱さ」の表出なのだと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

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