コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 姿三四郎(1943/日)

悟りは美と共に(真善美の世界観だね)
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







カットされたところにどんなメッセージがあったのか。一つは「人間とは・・・」の部分だと思う。三四郎は強いだけで人間とは何かわかっていない。まさか慈悲の心だ、というわけではないだろうが、戦時下にはあわない考えだと思う。次にカットされたのは、倒した相手の娘の眼差しに動揺した三四郎の腑抜けさ加減だ。敵に人情をかけるな、これでは戦意高揚にならない。そしてもう一つは三四郎と志村喬の娘との関係をしめすシーンだ。女で悩むなんて、というわけだろう。

雲と風と草原、この自然に対する思い入れが黒澤の原風景であろう。あと水か。この処女作からも十分窺える。脚本の構造も、初めの試合で殺した娘、次の試合にも相手にやはり娘、最後は敵役との決闘、とちゃんと三段階を踏んでドラマを作っている。それを自分の好みの風景の中で画面化する。やはり黒澤は絵の人であった。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)3819695[*] ペンクロフ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。