[コメント] 同じ月を見ている(2005/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
終始無口なドン。彼は優しい。幼少の頃よりそれは変わらず、彼の笑顔や彼が描く画は人を癒す。人を傷つけないように生きる彼は最期まで、まるで神の子のように優しい。人を温かくする明るい夜の満月のイメージ。
一方の鉄矢も最初は無口。幼少の頃と現在の彼はどこか違う。何かに怯えているように、誰にも邪魔されないように、壊れそうで、冷たそうな真昼の月のイメージ。
ドンの脱獄は、今の地位やエミとの幸せな関係を壊されるんじゃないかって不安を鉄矢に抱かせる。
合間に挿入される幼少の頃の鉄っちゃんとドンのエピソード。一貫してドンの優しさばかりが目立つ。
『GO』以来の共演となる金子役の山本太郎の名演技で鉄っちゃんは様々な感情を消化してドンとエミと三人で会うために彼のもとへ向かう。
7年前の山火事を髣髴とさせる火災。ドンを追って山小屋に駆け込む鉄矢。
この辺りからもう涙腺は緩みっぱなし。
特に、中央手術室の前でドンの心臓が摘出された瞬間。
フラットラインを示すアラームの中、こだまする鉄っちゃんの叫びが悲しい。
ドンの心臓が生まれつき小さいかったというエピソードは、少年への移植を可能にする伏線だった。
ドンの死の間際のセリフ、「また三人で念力やろうよ。鉄っちゃんの思いを僕が描くから。」 その遺志は心臓移植を受けた少年へと受け継がれる。
そしてエンディング。
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でもあの状況で脳死? ドナーとレシピエントの適合性は? ドナーの意思表示は?
「そんな野暮な突っ込みはやめておこう」と久保田利伸は「君のそばに」を唄う。
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帰ってきたな、窪塚。コレは鉄矢の話じゃない。ドンや金子が鉄矢より目立つからじゃない。何故か洋介の映画として僕はこの作品を観賞したんだ。
おかえり。僕は君の帰りをずっとずっと待ってたよ。擦り切れるほど君の過去の出演作のDVDを観ながらね。
う〜ん、大満足。
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