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[コメント] 単騎、千里を走る。(2005/香港=中国=日)

健さんのためにチャン・イーモウが撮った健さんの映画。だから健さん以外の人ではこの映画は作れないのです。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







日本の風景と、中国の風景を対比させ、そして日本の親子と中国の親子を対比させることによって、両国の”今”の風景を対比して、その奥に隠れる深い傷や悲しみを描いている。チャン・イーモウは見事だ。その中国の風景を撮らせたら、この人の右に出る人はあるまい。

注目すべきは、中国の父は息子に会いたいと言って大泣きする。これは演技ではあるが、いずれの役者も全くの素人だそうだ。だから、なかなか本人が泣かないので、撮影には相当時間を要したと聞く。そしてイーモウはこの素人の農民である父親を思い切り(鼻水が垂れるまで)泣かせてしまった。これが中国風、そして日本も本来はこの中国から文化を頂いた民族である。(ずいぶん遡るが・・・)

そして高倉健は同じ境遇でも”泣かない”のだ。健さんは泣くような演技はしない。それは日本男児として恥ずかしい行為だからだ。カメラの前で泣くなんて、そんな恥ずかしいことできるか!否、そういう話題ではない。とにかく日本の親子はお互いに誤解があって長年会うことがない、という状況下においても、”会いたい”という気持ちをもって泣くことなどないのだ。

つまりこの映画は”泣く”か”泣かない”かだ。

健さんは泣かない、でも本当は泣きたいのだな、というのがわかればこの映画は十分なのである。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

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