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[コメント] 天国と地獄(1963/日)

次に江ノ電に乗る時は、全く違った心持ちで揺られるんだ。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







これ本当に2時間半もあったの!?と思えるくらい映画に見事のめり込む。特に前半の息もつかせぬ展開が素晴らしい。犯人らしき人物を水面のゆらめきに映す描写などは鳥肌が立った。この前半でちょっとばかり納得がいかないのは三船敏郎のキャラ。今までが今までなだけになんだかお金を出し渋る人間には見えないんだ。お金なんて全財産だろうがなんだろうが投げ打ってしまうような人にしか見えないんだもの。まぁこれが三船ちゃんが大根と言われる所以なのかも知れないけれども(でも私はそんな事絶対認めない!!!)。

それから後半で街をブラつく犯人と権藤の接触シーン。あれは要らない。本当要らない。街に権藤の姿を見た時、私は「うそだーーーーーーーーーー!!!」って本当に声を出してしまったほど。そして犯人が権藤に近づく。カイザー・ソゼとかジグソウとかの比じゃねーよ三船ちゃん!!!!!ってマジで全身鳥肌が立ったんです。犯人を裏から操っていた諸悪の根源は権藤、お前だったのかー!ってすごい勘違いをしてしまったんだ私は!世間を味方にした挙句、ナショナルシューズを乗っ取るつもりだったんだと。犯人が権藤から煙草の火をもらい、警察が「根っからの悪党だ」とかなんとか言った時、ちょっと混乱して訳が分からなくなってしいました。小手先を利かせるだけの驚愕映画を見慣れてしまった私の悲しい勘違い。その時の驚きはラストの収束感をはるかに上回っていたんですよ。こんな勘違いをしてしまった人って他にいないんでしょうか?まさか私だけ?

ちなみにそんな街のシーンはどうやら冬に撮ったそうです。どうして夏のシーンをあえて冬に撮影するんですかと山崎努さんは黒澤監督に聞いたらしい。すると監督は「夏はみんな暑いのでつい安心してしまう。寒い時だとみんなどう暑く見せようかと工夫するから冬撮る方がいいんだ」と言ったらしいですよ。すごい発想。黒澤さんらしいですね。

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08.12.17 記

(評価:★4)

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