他人から夢の話を聴かされる。本人は熱く語ってるんだけど、イマイチ理解に苦しむような訳の分からない話を語られても、聴いてる方としては困る。

　一番困るのは、夢というのは特にオチが付かないことだ。これではいくら「こんな夢を見た」と言われても「だから？」としか答えられない。お雛様が動こうか、トンネルで死んだ兵士達に会おうが、滅びた地球で鬼と遭遇しようが構わない。でもこの話にオチは無い。

　この作品を観て鬱憤が溜まったと感じたら、これをオススメしよう。あさりよしとお作「宇宙家族カールビンソン」の「悪夢」だ。内容は『夢』の全エピソードをパロったものだが、とことん茶化していて楽しい。

　サングラスをかけた「黒」というキャラクターがお囃子をかき立てながらやってくる行列と遭遇する。その中の一人に「黒」が尋ねる。

黒「これは何のお祭りかね」

男「葬式ですよ」

黒「え？」

男「麒麟も老いれば駄馬にも劣る。老醜を晒すより先に生きたまま埋葬してしまうのさ、ご苦労さん……ってね」

黒「だ……誰の葬式なのかね」

男「見るかい……ホラ」

　棺桶が開けられ、そこに横たわっていた人物を見て「黒」は青ざめる。その人物とは……まあ、オチは想像付きますよね。少なくともこの映画に不満を持った方ならば……。