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[コメント] 八月の狂詩曲(1991/日)

ラストで許そう黒澤明
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最後の暴風雨のシーンまで、あれこれ納得しないところはあるけれど★4つの佳作だろうと思っていた。このラストは私には違和感が強かった。のばらの歌と画面に写っている風雨の中を走っていく老婆、孫、その両親をどうとらえていいかわからない。のばらの明るさがずいぶん間抜けに聞こえて、画面もまた偉く脱力して見えたのだ。

いや、この野原の一本道を大掛かりなセットを作ってそこに人工の雨風を激しく叩きつけて、その中に役者を走らせてそれを撮る!その画面の隅々まで全てを支配する方法論を貫徹する監督魂、それはよく表現されているのだが、そこにこの野ばらか?と疑問が浮かぶ。空の雲の描写も凄まじいものを見せるという意欲が見えて感心しない。これらはすべて私の見方だからなんということもないのだが。

そこでこのサイトのコメントを全部読み、原作の村田喜代子を検索にかけ、黒澤明のwikiまで読み込んでみた。その中で村田喜代子の「ラストで許そう黒澤明」というエッセーを見つけた。原作者がこの映画を見た感想で、これが素晴らしかった。私が納得できなかったラストを原作者があざやかに肯定して見せるのだ。なるほど、と原作者の見方は納得したが、私は自分に起きたラストの違和感を離すわけにはいかない。私が常に映画を見る際に常に一つの基準としているコメンテーターもこの作品に★5をあたえ、わけがわからないが最後に涙した、と感動している。

というわけで、作品を楽しむより自分の感受性を検討する結果となった。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ペンクロフ[*] けにろん[*]

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