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[コメント] 大人の見る絵本 生れてはみたけれど(1932/日)

大人には大人同士の、子供には子供同士のヒエラルキーや人間関係がある。そこに親と子という縦軸を通すと関係性は複層的になる。ましてや親は嘗ては子供だったし、子はいずれ大人になるのである。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







その抗い難き運命を微笑ましくも切なく描いているからこそ、90年経ってもこの作品は普遍を保っている。

「郊外」の荒涼とした風景、テニスや16ミリでの活動写真に興じる富裕層ライフ、「中将になるんだ」という将来の夢、当時の時代感が垣間見られて興味深い。

一方で、弁当箱を頭に乗せる、「シェー」みたいな歌舞伎?ポーズ、背中に看板背負わされた子、呪文で倒れて起き上がるお約束、雀の卵が示すステータスなど、数々の印象深い習俗で描かれる子供世界の有り様が楽しい。

斎藤達雄演じる父ちゃんのキャラクタもモダンでユニーク。活動写真の中で明らかになる、ぶっ飛んだ変顔パフォーマーへの豹変っぷりは衝撃的。

学校へ向かう子供たちの背中を追ったり、父ちゃんの職場の同僚たちのデスクを横移動したり、案外アクティブなカメラワークは、戦後小津のフィックス撮影を見慣れた身からすると新鮮に映る。

(Amazonプライムビデオの活弁ありバージョンで再鑑賞。)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] ゑぎ[*]

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