[コメント] 大統領の陰謀(1976/米)
一級のエンターテインメント。
久々に鑑賞したが、改めて素晴らしい出来栄えだと思った。何よりまだまだ事件の記憶新しかった当時に、人気絶頂の両雄を柱として、原作(=真実)に徹底的に忠実でありながら、それを一級のエンターテインメントに仕上げているところがすごい。その情熱と勢いはまさに劇中のワシントン・ポスト紙の面々そのままであり、高いテンションを維持しながらも、それが心地よい緊張感を生んでいるところもいい。
また、この一級のエンターテインメントは、ウォーターゲートはおろか、ニクソンの名すらも知らないであろう現代人にも素直に受け入れられるサスペンスとしても成立しており、そのあたりも高く評価したい。その原動力となったのが影の中にも視線を生んでレッドフォードを振り返らせたパクラの演出であり、ショットを駆使してあらゆる空間を生かしたウィリスの撮影であり、レッドフォード、ホフマンという両雄をも食わんとする脇役陣であることは確かだが、とりわけロバーズの主幹とホルブルックのディープ・スロートは、彼らがいなければこの映画は(当時流行ったCMではないが)クリープを入れないコーヒーのようになっていたのではないかという心配さえ抱かせるほどの圧倒的な存在感であった。
当時の製作ノートを拝見すると、この映画の公開に際しても相当な圧力がかかったようであるが、そんな圧力をも振り払ったこの映画の確かな力を、改めて高く評価しておきたいと思う。
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