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[コメント] グッドナイト&グッドラック(2005/日=仏=英=米)

度々挿入されるジャズの歌声と常に煙る煙草が、時代性以上に何かを訴える。シンプルな中に強い主張が込められた本作は、やや生真面目さが突出しちゃったような印象。060601
しど

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シンプルながら豊かなジャズの音質は、モノクロ映像やモノトーンな演出のこの作品の飾りっ気の無さに潜む魅力を象徴しているようだし、今は見られないオンエア中の喫煙シーンを始め、ほぼ全編に渡って小道具として使われる煙草と煙のカットが、表現主義としての「古き良き時代に残っていた正義」の象徴なのか、「必要悪としての毒性」のようでもあった。そうしたシンプルな構成の中にいろんな意味を込めようとしている点が、ジョージ・クルーニーの生真面目さを表していて好感はもてるんだけど、もう少し遊び的な演出を盛り込まないと劇場映画としては物足りないし、エド・マローのプライベートやその後を扱わないとドキュメンタリーとしてもやや拍子抜けな印象を拭えないのが残念。

この後、結果的に干されてしまったエド・マローは、煙草の影響か、60歳を前にして肺癌で亡くなっている。正義とは刺激ともに体を蝕む煙草のようなものなのかもしれない。そして、煙草がメディアから姿を消し、再び反ブッシュへの放送規制が激しい現代にこの作品を作ったジョージ・クルーニー、運命までエド・マロー同様に成らなければいいけどね。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)グラント・リー・バッファロー[*] 甘崎庵[*] TOBBY[*]

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