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[コメント] ヨコハマメリー(2005/日)

彼女をありのままに受け入れていた人々、そして街を通して語られる彼女の在り様は戦後日本の縮図である。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ヨコハマメリーという題名にしては、ご本人は直接前面に出てこない。所在を掴んでいながらインタビューをしないことを考えても、監督は意図的に本人から距離を置いている。そのことによって、「ハマのメリーさん」は結局ミステリアスな存在のままとなった。

つまり、本作で描かれたのは彼女の生き様ではなく、在り様なのである。そしてそれは、戦後、焼け野原から復興していく日本そのもののように思う。

日本は復興し、メリーさんは伊勢佐木町を、またこの世を去っていった。変わりゆく伊勢佐木町や日本を見て彼女は何を思っていたのだろう。ラストで映るメリーさんだった彼女の穏やかな表情は、何かをやり遂げた人の顔に見えた。それがとても清々しかった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] 林田乃丞[*]

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