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[コメント] 晩春(1949/日)

皆さんのコメントを読んでみて、きっと(そろそろ)再上映してみたら良いのではないかと思いました。日本人のあり方を考えるのにとても都合の良い映画ではないでしょうか?楽しめます。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







笠智衆のお父さんは、小津安二郎監督の遺作『秋刀魚の味』で同じような役を演じています。この『晩春』から13年経過して時代も変化して、それでも同じような役柄を演じる見事さが素晴らしいと思いました。

今、時代はもっと変わって、この頃の娘さんたち、原節子さんや『秋刀魚の味』の岩下志麻さん、それから『秋日和』や『小早川家の秋』で演じる司葉子さんあたりもそうですが、いずれも親が再婚することに反対します。「不潔」とまで言って断じます。

その気持ちの原点には、親を一人にさせられないという責任感のようなものがあって、特に感じられるのが『秋日和』の母親(原節子さん)が一人アパートで暮らすことをとことん嫌がる娘の優しさが表現されていますね。

時代がとても微妙な時代だと思うんですが、要するに都市で生活する人々が核家族化して、ある日突然孤独になるという環境。しかも今のようにテレビやパソコンが普及しているわけでもないので、老いた親が一人家にいても何もすることがないわけです。

そんなことを想像する子供たちが親を一人にできない、と思うのもある意味当然で、その優しさが当時の観客にヒットしたんでしょうね。

親子という関係を図式化した小津作品の原点となる映画です。

それにしても原節子さんの笑顔は素晴らしいです。

品のある笑顔。

当時のトップ女優でしたが、彼女の笑顔を見に映画館へ足を運ぶ人も多かったのではないかと想像させてくれる素晴らしい映画。

サイクリングで延々走り続けるシーンなどは、今とても撮影できない映像ですよね。

お見事でした。

2010/04/20 自宅

(評価:★5)

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