[コメント] ゆれる(2006/日)
香川照之とオダギリジョーの兄弟の姿が『レインマン』のダスティン・ホフマンとトム・クルーズを見るようでもあり、裁判で兄の言動が二転三転する様は黒澤明の『羅生門』を見るようでもある。人の気持ちは常に揺れていて、確かな物や不動の物など、この世に一つも無いのかもしれない。['07.2.12シネマジャック]
登場人物それぞれの気持ちの揺れを表現する多角的な撮り方など、隅々まで行き届いた緻密な演出。ラストが甘いとは言え、西川美和は、『かもめ食堂』の荻上直子と共に、要チェックの女性監督登場だなぁ。
香川照之の演技も、序盤「きっしょ」と思ったが、全編を見れば実に緻密にプランを組み立てた演技だと言う事が分かる。
オダギリジョーは相変わらず“男前”とも“セクシー”とも思わないし、“薄汚いひょっとこ”にしか見えない。何でそんなに人気があるのか、数年前の浅野忠信と同じ違和感。
演技的には香川照之が上手すぎて目立たないが、見終わってから考えると、やっぱり上手いんだよなぁ。調子こいてる序盤、兄の豹変振りに戸惑う中盤、意を決する終盤、そして後悔と回帰。これだけ多用な演技をこなしているのだから、さすが。これを例えば伊藤英明とか伊勢谷友介が演じていたら、ウンコになってたでしょう。って、比較対象が悪過ぎ?笑
序盤から中盤あたりで、父親役・伊武雅刀、父の兄で弁護士役・蟹江敬三の激昂した演技やキャラクターにイライラしたが、終始、冷静な裁判長役が怪優・田口トモロヲというキャスティングの妙が面白い。
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