[コメント] ユナイテッド93(2006/仏=英=米)
いつもと変わらない朝を迎えごく平凡な一日になるはずだった「その日」、最初はほんの些細なことのように感じられた違和感が、困惑と混乱に、そして未曾有の大惨事へとエスカレートしていく様。その緊迫感と切実さに画面から目が離せなくなる。
未熟さを醸し出すハイジャック犯たちのキャスティングが、フィクションたる93便の機上での出来事に映画としての説得力を植え付けているように感じた。
語り継ぐべき生存者が誰一人残らなかった機上での出来事と異なり、管制室や軍の統制室のシーンは綿密な取材により「その日」に起こった事実を「再現」したものであるのは確かなのだろう。だがそれをただ漫然と流すだけでは映画が成立するはずがない。「どのタイミングで」「何を」「どのように」映すのか考え抜かれた演出と、同時並行的に進行する多くのシーンを適切なタイミング・順序で切り替えていく巧みな編集があるからこそ、この臨場感と緊張感が生み出される。そこには明らかに作家の「創意」が発揮されている。従って、これは「単なる再現フィルム」ではないし、「事実をただ並べたもの」などでは断じてない、と思う。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。