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[コメント] 日本以外全部沈没(2006/日)

馬鹿映画は馬鹿映画ですが、ほんのちょっと考えさせられるところもあったりして。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 『日本沈没』(2006)のリメイク作が製作されると言う時期に、突然浮上した企画があった。小松左京による原作「日本沈没」が刊行された際、その便乗パロディとして筒井康隆が書いた短編を映画化しようと言うものである。勿論二番煎じは当然。便乗してやれ。という意図は明らかだが、監督の名前を目にした多くの人は、「な〜んだ」と思ったに違いない。

 なにせ便乗映画という意味では今の日本映画界きっての人物。河崎実である。「私は日本の恥になりたい」などと公言する河崎監督にしては、「期待に応えた」という意識の方が強かったかも知れない。

 私がこの作品の予告編を観たのは、まさに『日本沈没』本編の上映の前だったが、苦笑い出来る内容だったのは確か。妙にしょぼく、節操のない特撮。最初から似せる気のないハリウッドスターや各国首脳の面々の姿…う〜ん。これだけやる気の感じさせられない作品も珍しい。いや、むしろこれは凄く面白そうだ。と思った。それでも凄いことに、オリジナル映画版『日本沈没』主役の藤岡弘、のみならずTV版の主役村野武範まで出てくるというのだ。配役まで人を食ってやがる。

 最初から低評価になることが分かっている作品だが、だからこそ観たくなる時というのもある訳で、どんなに酷い出来だろう。と思ってわくわくしながら映画館に足を運んだ。

 …確かに変な映画であることは確か。それこそ予告に出てきたわざとらしく節操のない特撮や、キャラクタ描写なんかは無茶苦茶なレベルではあるのだが、それが意外なことに、このテーマは割としっかりしてたりする。いや、しっかりと言うレベルとはちょっと違うのかも知れないけど、「日本人とは一体何者であるか?」というテーマが内包されている。演出のせいでそうは見えないけど、深読みすれば出来る。と言う事で。  だから、実は意外に面白い部分もある…「意外に」と言う言葉がどうしても付いてしまうのがなんだが、単なる馬鹿映画観に行ったつもりでも、「あれ?」と思わせる部分が確かに存在すると言うことで。

 特撮部分もチープで節操がないが、こういうチープさを好む種類の人間というのもいるのは確か(聞いた話だと、ほとんどは東映特撮のバンクだそうだ)。これを書いてる人間を筆頭に(笑)

(評価:★3)

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