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[コメント] 善き人のためのソナタ(2006/独)

誰もまったき善き人たりえはしない。しかしそれでも、流れに流されなにも感じない人よりは、自らの良心に従って試練にあう人のほうが幸福なのだ。
イリューダ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私はべつにクリスチャンじゃないし、キリスト教がとくに好きなわけでもないけれど、キリスト教がはぐくんだ西洋思想のなかには、たしかに人間の良心というものに真正面から向き合ってきた、なにか崇高な歴史があると思う。それは現世利益や悪人正機の思想の中でわりとのほほんと暮らしてきた日本人にはない、壮絶な葛藤である。(無論、日蓮や親鸞にはまたべつの凄みがあるわけだが。)

善き人が、善きことをしても現実世界では報われることのほうが少ない。「だからそんなものは無駄なのだ」というのは幼稚なニヒリズムである。「それでも、やるんだ」というところに宗教の、あるいは映画を含む芸術の偉大さがあるのだと思う。

ただこの映画、もう誰かがたぶん指摘済みだと思うけれど、脚本上に大きな穴がある。ドライマンはなぜ原稿を書き上げると同時にタイプライターを処分しなかったのか。あんなものを家の中にいつまでも隠しておくのは爆弾を抱えているようなもので、人間の心理から考えても不自然である。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)chokobo[*] サイモン64[*]

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