[コメント] さくらん(2007/日)
とりあえず原作未読なので原作の世界をどれくらい再現出来ているのかは分からないが、これは「時代劇」ではなく「少女漫画」として見るべきなんだろうし、世界的フォトグラファーとやらの蜷川実花監督は、物語よりも「写真」の世界を「映画」に置き換えて表現しようと腐心しているのだろう。いわゆる映像美ってやつだ。
一応断っておくと、蜷川実花の写真は見た事は無い。しかしながら一番失敗しているのは、その「写真」と恐らく同じ手法でアプローチしたであろう「構図」「画面構成」「色使い」。辛くも「写真」と「映画」は違うという事を証明してしまったに過ぎない。
確かにパッと見ぃは「綺麗」「ポップ」「可愛い」なんて感想が浮かぶ。5分は。
でも徹頭徹尾、隅々までカラフルだと目が疲れて“毒々しく”見えてくるし、桜などを使って、ここ一番の効果をあげるべきシーン(いわゆる見せ場)でも他の色が強すぎて褪せて効果をあげない。桜が負けてどうするよ?
椎名林檎の歌もね…、うん、別に椎名林檎嫌いじゃないのね。昔(結婚だか出産する前まで)は結構好きだった。今は、好きでも嫌いでも無いんだけど、はっきり言ってウルサい。しつこいって意味でも、音量って意味でも。
ストーリー的には、まぁこんなもんじゃ?原作物だし。
もちろん、良く出来た脚本・演出とは言えなかったが。テンションがバツバツ途切れるし。
ってか、こんなに乳出す映画も久し振りに見た。(笑)とは言え、有名女優(土屋、木村、菅野)は脱がないんだが。
まぁ、『下妻物語』とか『真夜中の弥次さん喜多さん』なんかと同じ系統なんだろう。「アタシ、日本映画ぶっ壊しちゃうぞw 改革よ☆」なんて、気持ちもあったのかも知れない。
日本映画の新しい可能性としてアリだとは思うが、もし次回作を撮るとすればジャンルもアプローチの仕方も変えるべき。同じジャンル、同じアプローチならば通用しない。おとなしく写真の世界へ戻るがよろしかろう。
以下、役者について。
土屋アンナ…1シーンだけハッとさせる所はあって、やはり才能はあるんだろうが、『下妻物語』がいかに演出と深田恭子に助けられていたかが分かる。この子で2時間持たすのは、まだ厳しいだろう。現代劇とほとんど変わらないような言葉遣いのセリフなのにスムーズに言えてないし、声も悪い。いい加減、調子こいてんのを誰か止めろ。きちんと勉強すべし。
安藤政信…久し振りに見た。相変わらず男前だけど、成長は感じられなかった。凡庸。
木村佳乃…女優の中で一番良かったのでは?怪演。
椎名桔平…何とも思わず。
成宮寛貴…役柄には合ってるけど、ヅラが似合わないなぁ。口が大きいから?
菅野美穂…良いといえば良い。悪いと言えば悪い。この人、スランプだなぁ。
永瀬正敏…この人の、こーゆー役が一番嫌い。ブス。
夏木マリ…20年前なら佐々木すみ江にお願いしたいとこだが、今だったら真っ先に思い浮かぶ女優なんだろうなぁ。樹木希林で見たかった。
市川左團次…この人の演技って初めて見たかも。この人のシーンだけで、一つの世界が出来てたなぁ。安定感もさすが。
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