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[コメント] 映画 ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い(2007/日)

タイムパラドックスにパラレルワールド。日本の子供たちは小学校に行く前から自然にこんな世界を受け入れちゃうんだ。魔法vsドラえもんの道具っていうのが面白い。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







のび太が願ったもしもの世界が、魔法が発達したことで科学技術が迷信となり、普通の世界でいう科学の変わりに魔法が位置している。テレビや建造物もすべて魔法学が基礎として成り立っているんだな、などと納得したりして。

そんな世界でやっぱりドラえもんの道具が、みんなにとってみたこともない凄い魔法っていう存在として認知されていて、恐ろしいハルマゲドンの世界へも、ドラちゃんとだったら平気かも、ってなんとなくみんなが思っていくところも、ちょっとにんまりできる。

いつもはほんわかした日常の使い道の中で機能が発揮されるおなじみの道具、タイムふろしき、ビッグライト、盲点バッジ、通り抜けフープ、あべこべクリーム、なんかが活劇の場で使われると、その驚くべき威力がサバイバルな局面において改めて強調されるという構造も劇場版ならではの魅力。あの何百何千とある道具のうち、何をどういうふうに選択して戦うか? っていうアイデアを考えるのもオタク的な楽しみがあっていい。どうせなら一人空気砲を手にしているのび太が、魔法が使えないからというのではなく、ここは原作どおり「射撃の名手」として仲間たちから一目おかれている、というふうにして欲しかったな。なんて。劇場版ドラえもんを何本も見ている人にとっては、そのへんいまさらことわるまでもないってことなんだろうけど。

じゃ別にやっていることがいつもの冒険物であって、魔法の世界である必要もないのかっていうと、これ魔法の世界におきかえられて戦ったからこそ、現実の惑星危機のほうが解決できちゃったっていうのがあるから面白い。まったく歯が立たない複雑な事象が別の位相に置き換えたら簡単に解析できちゃった、みたいな、江戸の敵を長崎で討った、みたいな(違うか)物語の2重構造が心憎い。

しかし空き地の土管と、パンチラに他愛なく喝采する男の子たちが、かつてはいたってことが、ドラちゃんを通して永遠に語り継がれるんだなあ、と感慨深い限りです。

(評価:★4)

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