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[コメント] ハンニバル・ライジング(2007/仏=英=米)

レクター「妹萌え」疑惑
prick

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







これ人気ないんですかね? つーか、人気ないんでしょうね。ロードショーにもかかわらず、映画館には人が30人くらいしかいませんでした。「ああ、やっちまったくせえ。『ブラッド・ダイアモンド』見ればよかった……」とか考えながら幕開。んでも、トマス・ハリスのファンというわけでもないので原作も読んでおらず、前知識がなかったせいか、普通に楽しく見られました。

簡単に解説すると、時は第2次世界大戦、場所はリトアニア。レクター一家は東部戦線で戦火にさらされます。迫り来るドイツ軍とソ連軍は、どちらもレクター一家にとっては驚異なのです。レクター父、死にます。レクター母、死にます。そんでレクター兄と妹は、ドイツ兵に捕獲されます。妹をかばう兄。底をつく食料。そのときドイツ兵の視線はレクター妹に向かった……。果たして妹の運命は? 復讐を誓ったレクター博士はどうする?

ってな感じですが、要約すると「どうやらレクター博士は『妹萌え』である」と、そんだけ。

この映画が人気なさげな理由がわかったのが上映開始30分後くらい。戦後、ソ連の収容所から西側に逃亡したレクター博士が、血縁の叔母を頼ってフランスで生活をはじめたときのこと。いきなりフランスの宮殿みたいな家でコン・リーと剣道をはじめたから、さすがに帰ろうかと思いました。『ラスト・サムライ』的なトホホ感がたっぷり。

んで、ストーリーを追っていくと、こりゃあ人気ない要因はたくさんあるわ、って感じ。

羊たちの沈黙』だと、主人公にクラリスがいて、姿の見えないシリアルキラーがいて、さらにアドバイザーがイカれたレクター博士かよ!!みたいな3次元的楽しさがあったわけだけど、今作は「レクターが妹萌えで妹のために復讐するだけ」だから「レクターも意外に普通のやつなのな〜」とかって感想しかなかったりする。

しかし、おもしろいのですよ。

その理由は「レクター博士=ギャスパー・ウリエル」が男前だから。彼が妹の復讐を果たすため殺しまくっていくわけですが、殺人シーンにせよ、スクリーンにアップでうつる残酷顔にせよ、なにしろ二枚目顔だからかっけえ。かっけえから、怖いとか、残酷とか、そういうイメージが出てこないんだよね。「がんばれレクター、妹の敵を討て!」と応援したくなる。

おまけに爽快なのです。個人的に性格が悪い(復讐が好きである)という理由もあるんだろうけど、美形俳優がクールに口の端をゆがめながらバンバン殺しまくって復讐を果たしていく様は見ていて爽快。「もっとやれ、ぶっころせ、死ね!!」と、鳥肌実ばりに絶叫したくなります。なんつーか『ダイハード』的な「ヒーローが悪人を殺す」的な爽快感。

さらに若かりしころのレクターは「詰めが甘い」部分もあって、時折、ピンチになるのです。「いかに天才といえども経験不足である」っつー作り手の意図なのかどうなのかはしらんけど、「レクターも『認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちとういうものを』って思ってるんじゃねーの?」ってくらい、無駄にドキドキさせられます。

結論。

そーゆーわけで、普通におもしろかった。んでも、よくよく考えてみると、これって「『羊たちの沈黙』的なおもしろさは皆無」ってことだろうから、平均は3点台で推移すると予想。

2007/4/21(Sat)

(評価:★4)

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