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[コメント] スパイダーマン3(2007/米)

予告編が最高だっただけに、実際見て幻滅。悪いところだけが目につく映画でした。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







3作目となると期待も大きくものだ。『インディ・ジョーンズ』にしても『スター・ウォーズ』、『エイリアン』や『スーパーマン』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などいずれもそうだが、3作目(あるいは最終話)というのはいずれも愚作なのである。だから愚作であることを前提として、それでもファンが許してくれる映画を作るほか作り手側の逃げ道はない。

ジョージ・ルーカスはその点賢かった。20年前の三部作の失敗に敢えて挑戦し、近作ではストーリーがバレバレの状態を作りつつ、その期待に応えようと努力している。『シスの復讐』はある意味愚作であるが、私としては最高傑作だ。それは30年以上も続けたこのシリーズに対する敬意というものだ。映画作家のこういうたゆまぬ努力をコケにするほど私もあくどくはない。(と思っている)

しかしだ、サム・ライミは今回大失敗している。細かく言うとキリがないほど失敗している。3部作の最後となると、映画なりシリーズの荒っぽさをかき消すぐらいの勢いと終結をもって為さなければならないところを、逆にシリーズそのものの品格を多いいおとしめるほどの失敗をしてしまった。

まずはシリーズ全体の失敗を物語るいくつかの点を指摘したいところだが、シリーズ最大のネックはMJことキルステン・ダンストに品がないところだ。スタイルも良くこのシリーズで一躍スターダムにのし上がった彼女だが、この最終作の彼女の魅力は一切見当たらなかった。歯並びは悪いし毛深いし歌は下手だし目つきは悪いし、いいところが全くない。こういう女性を(そういう理由か知らないが)採用してしまったスタッフ側に責任がある。このシリーズ、実はラブストーリーが主流を成しているのだが、残念なことにこの女性に魅力がないだけに、思い入れることができないのである。もう少しマシな女優は沢山いるだろうに、例えると『パイレーツ・オブ・カリビアン』のキーラ・ナイトレイなどだが、まだあちらの方が魅力的だ。女優の選抜は映画の根幹にかかわる問題なので、この時点でこのシリーズの失敗は決まったようなものである。

あとは、この最終作最大の失敗は、1本の映画に余計な情報を入れすぎているということだ。第1作から見ている者の多くは、最終作でピーターとハリーの戦いが物語の中心を為すことを知っているはずだ。しかし、そのクライマックスをこの映画は冒頭にもってくることによって、前半でシリーズの大半の興味を終えてしまっているのだ。だから、最後に二人が再び友情で結ばれても、全く臨場感がない。だいだい執事が今頃になって父親が自ら命を絶ったことを話すということもおかしい。(いまさら言うな)

砂男のエピソードや、黒いスパイダーマンが乗り移るエピソードは確かに面白いのだが、この作品に無理やり押し込んだ印象が強く、全くもって違和感がある。そもそもこの黒い物体の弱点が鐘の音だ、というのも陳腐だ。ふざけるのもほどほどにしてほしい。

アメリカ映画の終わり方というのは常にキリストの教えに従っているようで、「全てを許す」という割りには、映画全体が許しがたい内容に陥ってしまった。

(評価:★1)

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