[コメント] 殯の森(2007/日=仏)
この画面の「品のなさ」は私にはちょっと受け容れがたい。
しかし、この映画(及びその監督)の本質は「品のなさ」というよりも、むしろ「したたかさ」と云ったほうが適当だろう。森の外観や風にそよぐ稲を画面いっぱいに収めたロングのフィックスショットの「まるで絵のような美しさ」は、「リアルな」と形容されることを期待しているであろう画面の「品のなさ」が才能や能力・努力の欠如によるものではなく、意図的な選択によるものであることを訴えている(人はこの意図的な選択を「カンヌで賞を獲るための選択」と云うかもしれない)。実にしたたかだ。
まあ結局は趣味の問題になってしまうのだけれども、尾野真千子の役名を「真千子」、うだしげきの役名を「しげき」にしてしまうセンスというのは私には信じられないし、尾野とうだが茶畑でかくれんぼをするシーンは確かに印象深いけれども、そこにあのような音楽を重ねて平気でいられるというのも理解しがたい。河瀬直美はしたたかで図太い神経を持っている。その発露の仕方が私の趣味に合わなかっただけ。
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