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[コメント] ダイ・ハード4.0(2007/米)

毛根も躊躇も機転もなく、物語の縛りも緩い。もはやボンド化したジョン・マクレーン。そもそも911を経て尚、制作側は本当に彼というキャラを描きたかったのか?アクションとしては飽きさせず、納得のデキ。既視感のある画をリミックスだけで押し通した。
chilidog

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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毛根も躊躇も機転もなく、敵も少ない。物語の縛りも緩い。

1作目の『ダイハード』は実に良く練り込まれたアクション映画であった。高層ビル1軒の狭い空間で、痛みに顔が歪み、弱音を吐き、耳を研ぎすまして敵の気配を捉え、目を凝らして敵を倒す物を探し、己体ひとつと1個のトランシーバーで家族と人質を救おうとしたジョン。裸足のちょっとおなかの出たジョン。タバコをくわえるジョン。眉毛がひん曲がりつづけるジョン。「ホーホーホー」と歌うジョン。

「ブルームーン」で注目を浴び、この出世作で一気にスターダムにのし上がったジョンことブルース・ウィリス。その後、『ハドソン・ホーク』とかのポカをやったり、超弩級の横柄なゴシップを耳にしても、あのジョンの憎めないシャレっ気やグチっぽさに目も耳も塞いだものだった。

ボンドかシュワちゃんにタイマン張るかの如く、シャレやグチの暇もなくFBIの中枢と堂々と渡り合い(なんの衝突もなく)、過去3事件の経験以上にテロ対策のプロのような判断力と、傷をものともしないマッチョな体で走って飛び乗って敵を蹴散らす。もはやそれは「20世紀」のジョン・マクレーンの姿ではない。否ジョン・マクレーンどころか人間であることすら疑わしい。目つき悪すぎるし。

マット・ファレル(ジャスティン・ロング)の殺害に固執してしまったテロ集団。ほとんど出てこなかった現場の地元警官達。ジュード・ロウを安っぽくしたような歴代一存在感の薄いボスティモシー・オリファント、過去のアクション映画をリミックスしたかのようなシーンの数々、いささかやり過ぎの戦闘機アクションなど不満はあるものの、アクションとしては2時間飽きさせず納得。娘ルーシーも良かったけど、これは「24」みたいだったな。

サイバー時代を象徴する邦題の4.0の「.0」っていうのは悪い冗談…。まさかDVDでマイナーヴァージョンアップするんじゃなかろうに。

最後の最後はやっぱり(1作目であったような)ドンデン返しで締めると思ったんだがなあ。さすがに今回のようなテイストだと、ないか。

(まさに7月4日鑑賞)

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)shu-z kenichi shiono[*]

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