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[コメント] 許されざる者(1960/米)

ちょっと変質的な母親役をリリアン・ギッシュが好演。オードリーはいつも以上に美しく、J・ヒューストンのロングショットも悪くない。が物語は原作通りか、脚本段階で変えられたものか?
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







白人がさらったカイオワ族の赤ん坊が娘に成長した。彼女は白人とカイオワ族の‘憎しみの連鎖’の中で生まれた、両者をつなぐもの・・・となると、当然(?)彼女は連鎖を止める者になるのかと思ったのだが、映画は連鎖にはそしらん顔でまたまた争い、戦いへと突き進んでいく。

原作を変えたのではないかと思ったのは、もう1つ理由がある。

ストーリーの流れを変えるターニングポイントがある。そのシーンを見てみよう。カイオワ族に囲まれた家の中で、レイチェル「私、行くわ。同族だから。」白人兄「行くな。(弟に)1人撃って殺せ。」弟「えっ、話し合いに来ているのだぜ。」白人兄「あいつらは、話し合いがダメなら次は略奪だぞ!」

ここから銃撃戦へと進んでいくが、何と荒っぽいストーリー展開だ。セリフ1つで流れを変えている。もっとも、白人兄は変質的な血を母から受けているとか、原住民のことをよく知っているとかの伏線もあるのだが、無理やり流れを変えたという感は否めない。

映画として盛り上がる、ハデな銃撃戦のシーンが欲しかったのではないかと思う。

映画作品は原作を変えていようとなかろうと、その出来上がったもので批評すべきだという声がある。そうだと思うしそれに従うと、この作品は、妹を愛した白人男が妹が実は原住民で血はつながっていなかったと分かって歓喜し、邪魔をする原住民を殺しまくる、という図式になる。

本作は変質的な白人男が想いをとげるという異様で、何とも言えない後味の悪い作品になっている。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)Myrath ぽんしゅう[*]

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