[コメント] HERO(2007/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
このドラマの楽しさは、やはり久利正公平というキャラだと思う。ありきたりだが、彼の存在そのものがこのドラマを引っ張る。
しかし、映画のストーリーとして平凡だし、大物政治家の登場や韓国遠征など、話を大きくしようとしているが、所詮テレビの領域を逸脱していない。安全を狙った映画ということで、映画的な世界は微塵も見受けられない。
そんな中、松本幸四郎、中井貴一などの大物脇役がドラマを充実させており、いずれも好演が光る。
特に目を惹くのは香川照之だ。彼はうまい!そして凄い。彼の出る映画は、彼の存在そのもので見せることができる。彼の演技はその都度変貌と遂げる。そして今回のドラマでも絶品の演技を見せてくれる。全くの脇役だが、彼の表情がいかにも検察権力を象徴しており、実態と大きくかけ離れた検事部屋のマンガ的なドラマにほんの少し現実味をつけてくれている。凄い役者だ。
木村拓也は、最後の大物政治家(森田一義)に対する証人尋問のシーンが光る。感情を抑え、淡々と、そして厳しく表現できている。彼は才能ある方だと思う。中井貴一とのやりとりも抑制された表情が素晴らしいと思う。前作『武士の一分』で感情を表に出す演技を示したが、今回は手馴れたキャラということもあって、人物そのものにシンクロしている印象だった。
問題は映画として評価しにくい点だ。所詮テレビの延長でしかないだけに、結局俳優の演技で持たせているだけの映画であって、映画としての評価に値しない。
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