[コメント] デス・プルーフ in グラインドハウス(2007/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
映画を観る前は、もっと後味の悪いのを予想していた。
前半のテンションが最後まで続くと思っていたのだ。タランティーノらしい編集と演出で、どこかねちっこい。そしてそれは中盤の見せ場である、残酷な自動車殺人へと向かっていく。ここは思わず顔をしかめたくらいショッキング(褒めてます)。
このテンションで後半も進み、スタントマン・マイク、彼は今日も獲物を探して車を走らせるのであった……そんな感じのエンディングだとばかり思っていた。
しかし全ては後半のクライマックスで見せるカーチェイスのための伏線だったのだ。前半で殺人鬼スタントマン・マイクを紹介し、後半、それに負けないくらいの車バカが登場して彼と対決する。
ボンネットに人が乗ったままのカーチェイスは最高にスリリング。「ああ、落ちちゃダメだ。」と車内の2人と一緒に、彼女を応援しました。ジェット・コースターに乗っているような気分が味わえました。
この時点ですでに、前半の恐怖とは種類が違っている。映画はホラーからアクションものへと変化しつつある。
その後、女3人は、あいつ許せん、とカート・ラッセルを追い始めるわけだが、このときも、私まだ、ホラーな空気から抜けられないでいました。ああ、彼女たち、自ら危険な道に戻っていくのね。復讐するどころか、またスタントマン・マイクの恐怖を味わい、その餌食になるんだろうなあ、と。
ところが、これがなかなかやるじゃないか。とうとうカート・ラッセルが「I'msorry!」と叫ぶ。まさかこんな展開になるとは思っていなかった。悪は滅ぶ、という王道の展開と言えばそうだが、とにかくスカッとした。
それにしてもカート・ラッセルがサンドバッグ状態になるラストはちょっと残酷。どっちが殺人鬼だ?見ているだけで痛い。それなのに、リズミカルな編集でコミカル。そしてこの爽快感は何だー?彼女たちと一緒に万歳と叫びたくなってしまった。
やっぱり、タランティーノの映画は危険だ。
映画は後半が盛り上がるのだから当たり前と言えばそうだが、前半のホラーな雰囲気より、後半のカーチェイスの方が面白かった。
そもそも、車を運転しながら人を殺すのが好きな快楽殺人者、という設定が、カーチェイスが撮りたい!車を走らせて、物をボコボコ壊して(田舎道だけど)、人も壊したい!というただそれだけのために用意されたようなキャラクターではないか。
そう、それだけで充分なのだ。怖いはずのジェット・コースターに何故乗りたいのか?怖いけど楽しいってどういうことだ?説明などいらない。楽しいものは楽しい。乗りたいから乗る。それで充分ではないか。
(評価:)
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